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さん喬十八番集成 第一夜 10/23

2012年10月23日 さん喬十八番集成 柳家さん喬独演会 第一夜 日本橋劇場
芸道四五年 集大成の十夜 ずらり十八番が並びます

席は左と後ろが通路の、先日の権太楼のうどん屋連続2回目とさん喬の子別れ(下)を聴いた長講の会の時の席と同じブロックの全く反対の位置。
定刻より5分早い17時40分に開演となる。

柳家さん坊。まんまおあがりから道灌。10分間。
柳家喬之進。自分が開口一番の予定だったが、さん喬が末広亭から到着するのが6時50分で、しかも雨の中タクシーで来ると言うことなので、自分が45分に上がって7時に下りて到着していないと言うことになったら、と言うことで急遽さん坊がやった、と言ってのめる

柳家さん喬。お声掛けがあってやることになったが十八番は無理だ、とか、10夜あるので気が楽だとか、先輩にはかなわない、と言って、「権太楼さんには足元にも及びません・・・。」会場が「ライバル心があるのっ。そんなわけ無いでしょ。」と言う意味で歓声が上がると、「今の笑いはなんですか・・・。」、と。
十八番の意味は得意と言うことではなく野村満XXさんに依れば、能狂言の演目を歌舞伎に許したのが18番だけだったからだ、と。しかも許した流派は潰れて今はないという。

(演目を10席書いたアンケートが配られていて)聴いてみたいのを、全部×でも良いですが、丸を付けて貰った多い順に次回やる。その後も同じようにしていく。ネタおろしもするかも知れない、と。

小さんの内弟子の前座の頃、兄弟弟子にいたずらをされた話。前座が呼ばれていくのは仕事ではなくお手伝い。手帳にそのスケジュールを書き込まれ首をかしげながら行ったが会場は閉まっていた。当時はまだトルコ風呂。初めて行ったがやみつきになりそう、と書き込まれた。金が無く行けっこないのに。とにかく金がないから金の掛からない遊び、悪戯をやっていた、と。

小さんの娘で花緑の母親の小林キミコは太地喜和子等と一緒にやっていた元女優で、弟子に洋物の劇で使う鼻やマツゲを付けて「XXにお使いに行っておいで・・。」とやった。商店街であそこの弟子はどうしようもないと言われた、と。
当時小たけと言っていた小里んが女将さんから貰った小さいアッパッパーを着て腕と足と胸毛を出して目白駅前の最新型の自動ドアがあった富士銀行に行くと言う、長講の会の時と同じ話。ピキニーズのピンキーをおぶって高下駄履いて唐傘を持って行く小里んの前に、さん喬と当時小よしの小燕枝が行っていて雪駄を脱いで床を慣らすところに小里んがゴムのマットを踏んでドアを開いて唐傘を開いて見得を切る。窓口に半身で「預金」と言って格好良くバタンと置く。「受けました。」

さん喬がガードレールに座っているところに、そう助(さん八)や小いねやマコト(小燕路)、小里んや小燕枝が取り巻いて「会社が潰れたの・・。」「この万年筆を現物支給で貰ったの・・・。」とやると、結構な人が集まった、と。
今の前座は金を持っていて酒を飲んだりカラオケに行ったりしているが、当時は一日100円で足代を浮かすのに歩いた。苦労話ではなくて、そう言うことがあったと言うこと、と。

今の花柳界は1時間単位だが、昔は線香が絶ちきれるまでが1単位だった。「お直し」か「たちきり」かと思うところに、線香が高いので女中が一束持って田舎に逃げたとなり、たちきり
蔵から出て直ぐに小糸の所に駆けつけた若旦那に、顛末を話す女将の話が長かった。お母さん手紙を書いていい?の繰り返しが多かった。
長かったが聴き応えがあった。客席もそうだが、さん喬も噺に入り込んでしまったのだろう。中入りに入りハンカチで拭いている人が少なからずいた。
初回の最初に持ってくる噺は考えたのだろう、浚ってきたんだろうと言うことが伝わる一席だった。

中入り。~8:30

柳家さん喬。黒紋付きなので、侍モノか講談モノ。「頭にのり長いたちきりで・・・。」「自分でもあんなに長いたちきりになるとは・・・。」お客の力でやれた、と。先だっての扇辰もお客の集中力でやらせて貰ったと言うようなことを言っていたが、そういうモノなのか。
良く落語を聴いてくれて有り難い。かわら版を見ると1日に20ぐらい会をやっている。寄席に入らない理由が良く分かった、と。寄席には寄席の尺があるので来て下さい、と。

あと9回、「もうやめましょうよ・・・。」、と。神経込めて1席やると、こんなに疲れる、と。次回は12月で、お客は増えなくても良いから減らないで下さい、と。

くず屋さんがいた、と言う話になれば戸の茶碗。いつも来るくず屋は、何を出してもいつも300円だった、そのお金を女将さんはラーメン食べておいでと言ってくれた。ラーメンとコーヒーを飲むのが楽しかった、といつもの井戸茶のマクラ。

仏像はいくらもでよい。高木は清兵衛を小屋に呼ぶ。油紙キチッと50両。千代田卜齋は「それは困る」。仲裁はセイガンジ店の大家。井戸茶見立ては細川公。
くず屋がお侍の仲人をさせて貰って、孫子の代まで語る、と言うところがさん喬の井戸茶の触りなんだが、チョットだけ当たりが悪かった。

全編ちょっとずつ短くして、楽しみながら幸せになって9時10分頃終演。